ポール・ドノヴァンからの手紙
LEXXの制作について
原作者であり、脚本家であり、監督であり、製作総指揮者であるポ−ル・ドノヴァンから届いたコメント
LEXXについて何か言ってほしいって? 思うに僕は、番組制作に関して自分の立脚点を守るのに多くの時間を費やしてきたんじゃないかな。ザ・ビバリー・ヒルビリーズとかスター・トレック(オリジナル・シリーズ)とかモンティー・パイソンのフライング・サーカスとかのような番組を見て、ティーンエイジャーの頃の僕のおつむはだめになっちゃったってことは認めなきゃならないね。こういうタイプの番組をあまりにもたくさん見すぎたんで、僕の大学生としての勉強の進み具合にも悪い影響を与えたんだよ。僕は博士の資格が取れなかったほかの学生たちの多くも同じだったんじゃないかなって疑っているよ。
年長者であり幾分は分別もついた者として言わせてもらうと、今なら分かるんだ、僕が自分の学校の成績を犠牲にしてまでこれらの連続ドラマに入れ込んじゃったのは、彼ら制作者たちが登場人物や作品に注ぎ込んだ創造的なオリジナリティーや情熱のせいだったんだってことが。
最近は番組があまりにもたくさん作られすぎているけど、そういうのとは違って、かつての連続ドラマはマーケティング委員会とかフォーカス・グループによる製品じゃなかった。それらは情熱的な語り部たちによって作られたんだ。
LEXXを作っているときは、テレビのためなら何だってありという感じで、僕らはずっと妥協のしっぱなしだったよ。僕らには十分な資金がなかったんだ。撮影スケジュールは1話につき7日間(時々6日間)で、あまりにも短かかった。あまりにもたくさんの野心的な特殊効果を行ったので、本当なら数週間かかるシーンを2、3日で撮ったりしたよ。脚本によって、しばしば制作が妥協のかたまりになったり、創造的になったり、実行可能な範囲のものになったりもしたね。LEXXはノヴァ・スコシアのハリファックスで撮ったんだけど、その場所はいくつかの利点もあったけど、制作の機材設備が貧弱だったというような多くの欠点もあったよ。
でもこんな問題があったにもかかわらず、すごいシーン満載のすごい番組を少しは作れたと僕自身は思っているよ。LEXXはいつもユニークな声で話したし、それはハリウッド的なものとは際立って異なっていた。この連続ドラマにかかわったほとんどの人間が皆、自分たちは何か今までと違ったこと、何か特別なこと、そしてたぶん何かクレイジーなことをやっているんだって分かっていたんだ。そのことが、傍目には実現できそうに見えない難題に対して、何度も何度も立ち向かって行こうとする態度へとキャストやクルーをしばしば強く駆り立てたのさ。
何日間か、僕はスタジオに入ると、高いところに架かっているキャットウォークの上から、ただそこにつっ立って、巨大な暗い空間のなかであちこち走り回っている連中を眺めたもんだよ。彼らは、LEXXというこのクレイジーな夢物語を作っていたんだ。いい気分だったね。
ポール・ドノヴァン
ノヴァ・スコシアのハリファックスにて |